歯科の光学印象、施設基準の要件は?2026年6月改定の点数まで

光学印象の施設基準は、補綴の経験3年以上の歯科医師が1名以上いることと、必要な機器を院内に持っていることの2つです。CAD/CAM冠の届出があれば足りるのか、2026年6月の改定で届出をやり直すのかは、条文を見ないと分かりにくいところです。
この記事では、いまの告示と通知から、要件・届出・点数の差までをまとめます。
施設基準は2つ、CAD/CAM冠の届出とは別

光学印象とCAD/CAM冠は同じ様式50の2で届け出ますが、施設基準は別の項目です。CAD/CAM冠を届け出ていても、光学印象を算定するには光学印象の届出が必要です。
| 項目 | 光学印象 | CAD/CAM冠・インレー |
|---|---|---|
| 歯科医師 | 補綴の専門の知識と3年以上の経験を持つ歯科医師が1名以上 | 同じ |
| 機器 | 光学印象に必要な機器を院内に持っている | 歯科用CAD/CAM装置は院内でなくてもよい |
| 歯科技工士 | 基準に記載なし | 院内に装置があれば配置、なければ装置のある歯科技工所と連携 |
| 届出の様式 | 様式50の2 | 様式50の2 |
- 違いが出るのは機器です。CAD/CAM装置は技工所との連携でも基準を満たせますが、光学印象の機器は院内に持つ形で書かれています。
- 対象の機器は、特定診療報酬算定医療機器の定義の通知に書かれています。類別が「機械器具(60)歯科用エンジン」、一般的名称が「デジタル印象採得装置」のものです。
2026年6月に変わった点数と対象

中医協の個別改定項目の新旧の欄で比べると、次のとおりです。
| 項目 | 2026年5月まで | 2026年6月から |
|---|---|---|
| 点数(1歯) | 100点 | 150点 |
| 対象 | インレー | 冠・インレー |
| 技工士と対面 | 加算 50点 | 加算1 60点 |
| 情報通信機器 | なし | 加算2 80点 |
- 表の「インレー」「冠」は、CAD/CAMインレーとCAD/CAM冠です。
- 加算は、技工士と対面か情報通信機器で確認した場合です。改定前は光学印象歯科技工士連携加算、改定後は歯科技工士連携加算1・2です。
- 告示の対象はM015-2のCAD/CAM冠とM015-3のCAD/CAMインレーです。M003-4の告示と通知に、エンドクラウンやPEEK冠を除く文はありません。
- 光学印象なら、直接法で取ったデータからCAD/CAM冠を製作してよいという規定は、M015-2の通知の(8)にあります。
- PEEK冠の部位と点数の内訳は、PEEK冠の保険適用、部位と条件は?に並べています。
- 同じ改定で1と2に分かれた項目には、口腔機能管理料もあります。
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算定は1歯150点、連合印象との差は68点

光学印象は印象採得と咬合採得をまとめて評価する項目で、M003の印象採得、M003-3の咬合印象、M006の咬合採得は別に算定できません。そのため、比べるのは印象と咬合採得の合計です。
| 方法 | 算定する項目 | 合計(点) |
|---|---|---|
| 連合印象 | 連合印象64+咬合採得18 | 82 |
| 単純印象 | 単純印象32+咬合採得18 | 50 |
| 光学印象 | 光学印象150 | 150 |
| 光学印象+加算1 | 150+60 | 210 |
| 光学印象+加算2 | 150+80 | 230 |
- 単純印象はCAD/CAMインレーの場合です。
- 連合印象との差は68点です。単純印象との差は100点です。
- 告示の単位は1歯につき、通知の書き方は製作物ごとです。
- CAD/CAM冠の通知の印象採得は連合印象、CAD/CAMインレーの通知は「歯冠修復」の印象採得です。
- 同じ日に2歯の光学印象をして加算1を算定する場合は、150点×2に60点を1回で、360点です。
歯科技工士連携加算1・2の要件

連携加算は、光学印象の届出とは別に、様式50の2の2で届け出る項目です。
| 要件 | 加算1(対面)60点 | 加算2(情報通信機器)80点 |
|---|---|---|
| 歯科技工士 | 専任の歯科技工士の配置か、他の歯科技工所と連携できる体制 | 同じ |
| 掲示 | 連携の実績がある歯科技工士の氏名か歯科技工所の名称を院内に掲示し、原則ウェブにも掲載 | 同じ |
| 処遇 | 歯科技工士の負担軽減と処遇改善に資する体制 | 同じ |
| 情報の安全管理 | 記載なし | 医療情報システムの安全管理ガイドラインに準拠した体制 |
- 光学印象で取得したデータの取扱いは、加算の有無にかかわらず、医療情報システムの安全管理ガイドラインに沿うよう通知に書かれています。
- 算定するときは、確認の内容を診療録に書きます。院外の歯科技工士なら、歯科技工所の名称も書きます。
- 2つ以上を同じ日に光学印象しても、加算は1回です。
- 加算1と2を1装置につきいずれか1つとする文は、告示の注5にあります。ただし注5が引く番号は「注1及び注2」のままで、加算を定める注3・注4ではありません。
- 加算2の情報通信機器の運用費用は、療養の給付と直接関係ないサービス等の費用として別に徴収できます。
- 確認した歯科技工士と製作する歯科技工士が別の人でもよいかは、2024年3月の疑義解釈(その1)問38に回答があります。情報を十分に共有して連携していれば算定して差し支えない、という内容です。問の加算名は改定前のものです。光学印象で問が扱うのは対面の加算です。光学印象に情報通信機器の加算(いまの加算2)は当時ありませんでした。
届出の様式と、改定後に届出が要らない場合

様式50の2は、CAD/CAM冠と光学印象の共通の用紙です。書くものは届け出る項目で変わります。
| 届け出る項目 | 丸をつける欄 | 主に書くもの |
|---|---|---|
| 光学印象だけ | 光学印象 | 歯科医師の氏名・経験年数、デジタル印象採得装置 |
| CAD/CAM冠も同時に | 両方 | 上に加え、歯科技工士、歯科用CAD/CAM装置 |
- デジタル印象採得装置の欄には、医療機器承認(認証)番号、製品名、製造販売業者名を書きます。歯科用CAD/CAM装置の欄は、医療機器届出番号、製品名、製造販売業者名です。
- 光学印象だけの届出で歯科技工士とCAD/CAM装置の記載が要らないことは、2024年4月の疑義解釈(その3)問9にあります。CAD/CAM冠を届出ずみの医療機関が光学印象を足す場合は、同年5月の(その6)問9に、光学印象の欄にだけ丸をつけ、デジタル印象採得装置の欄を書く形でよいとあります。
- 2026年5月31日に算定していた場合:特掲診療料の施設基準の通知の第4により、引き続き算定するなら新たな届出は要りません。光学印象は、届出が必要な項目を並べた表1・表2に載っていません。歯科技工士連携加算1・2は、表3の「届出が必要でないもの」に入っています。
- 表3を読むときの注意:表3の加算名は、光学印象に限らない共通の名前です。院内の歯科技工士が専任であること、掲示・ウェブ掲載・処遇の体制は今回の改定で基準に入ったものなので、届出が要らない場合でも満たしている必要があります。また、光学印象の加算2は今回の新設で、5月31日に算定していた例はありません。歯科技工士連携加算2の届出がなければ、様式50の2の2で届け出ます。
- 機器を変えた場合:同じ通知の第3は、使用する機器を届け出ている施設基準では、機器が変わるたびに届け出ると定めています。同じ第3には、変更の届出の翌月(月の最初の開庁日に要件審査を終えて受理されれば当該月の1日)から変更後の特掲診療料を算定する、という文が続きます。ただし、この文の「その場合」はCT・MRIの機器の文の直後にあり、どこまでを指すかは書かれていません。光学印象を名指しした文は見つかっていないので、機器を更新するときは、届出の要否と新しい機器で算定を始める時期を地方厚生局に確かめると確実です。
- いまの疑義解釈:2026年の疑義解釈(10月28日のその14まで)を検索した範囲では、光学印象の問は見つかりませんでした。上の2024年の回答を廃止するという文も見つかっていません。
原文の確かめ方

- 告示の歯科点数表のPDFを開く(出典の1つ目)。86ページがM003-4です
- 留意事項通知の別添2のPDFを開く(出典の2つ目)。142ページが光学印象、151ページがCAD/CAM冠の(8)です
- 施設基準の通知のPDFを開く(出典の3つ目)。236〜237ページが基準、714〜715ページが様式、36〜41ページが届出の要否です
- 新しい疑義解釈と訂正は、厚労省の改定のページに順に載ります(出典の最後)
出典
- 厚生労働省「歯科点数表(令和8年厚生労働省告示第69号)」M003・M003-4・M006
- 厚生労働省 保医発0305第6号(令和8年3月5日)「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について 別添2 歯科診療報酬点数表に関する事項」(5月29日の訂正後)
- 厚生労働省 保医発0305第8号(令和8年3月5日)「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」第57の5の2〜第57の6、様式50の2・50の2の2(10月7日の訂正後)
- 厚生労働省「特掲診療料の施設基準等の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第71号)」
- 厚生労働省 保医発0305第3号(令和8年3月5日)「特定診療報酬算定医療機器の定義等について」(5月29日の訂正後)
- 中央社会保険医療協議会「個別改定項目について」(令和8年2月13日)
- 厚生労働省 保険局医療課 事務連絡(令和6年3月28日)「疑義解釈資料の送付について(その1)」問37・問38
- 厚生労働省 保険局医療課 事務連絡(令和6年4月26日)「疑義解釈資料の送付について(その3)」問9
- 厚生労働省 保険局医療課 事務連絡(令和6年5月30日)「疑義解釈資料の送付について(その6)」問9(九州厚生局の掲載)
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」(疑義解釈その1〜14・訂正通知の一覧)
この記事の数字と日付は2026年11月1日に厚生労働省などの原文で確かめました。2027年3月31日以降は内容が古くなるため、書き直します。