口腔機能管理料1と2の違いは?検査の要件と2026年改定の点数

口腔機能管理料は2026年6月に1と2に分かれました。1は5つの検査のいずれかを実施した口腔機能低下症の患者が対象で90点、2はそれ以外の患者が対象で50点です。では、機器を使わない検査だけなら2なのか、検査をしない月はどちらなのか。
この記事では、いまの告示と通知から、検査の対応と点数の差までをまとめます。
1と2を分けるのは5つの検査の実施

告示の注2と注3の書き分けを並べると、次のとおりです。
| 項目 | 口腔機能管理料1 | 口腔機能管理料2 |
|---|---|---|
| 点数(月1回) | 90点 | 50点 |
| 情報通信機器を用いた場合 | 78点 | 44点 |
| 対象 | 5つの検査のいずれかを実施した口腔機能低下症の患者 | 口腔機能低下症の患者(1の対象を除く) |
| 口腔管理体制強化加算 | 50点 | 50点 |
- 情報通信機器は届出の医療機関で過去に算定した患者、加算は届出の診療所が対象です。
- 5つの検査は、口腔細菌定量検査2、咀嚼能力検査1、咬合圧検査1、口腔粘膜湿潤度検査、舌圧検査です。
- 区分まで指定されています。口腔細菌定量検査1と咀嚼能力検査2・咬合圧検査2は、注2に入っていません。
- 注3は2の対象から1の患者を除いているので、同じ患者についてどちらかを選ぶ形ではありません。
- 日本歯科医学会の「基本的な考え方」では、機器を用いない検査だけでも3項目以上で診断できます。その場合の検査は注2に無いので、2の対象です。診断の後に5つの検査を行った場合に、いつから1になるかは書かれていません(検査をしない月の節)。
- 小児口腔機能管理料も同じ90点と50点ですが、分け方は違います。評価項目が3項目以上なら1、2項目なら2です。
7項目の基準と、保険の検査の対応

診断は7つの下位症状のうち3項目以上です。下の表の基準は「基本的な考え方」(令和8年3月)、点数は告示です。
| 下位症状 | 機器の検査と基準 | 機器を用いない検査と基準 | 管理料1の検査(点) |
|---|---|---|---|
| 口腔衛生状態不良 | 舌背上の微生物数 レベル4以上 | 舌苔の付着程度 TCI 50%以上 | 口腔細菌定量検査2(65) |
| 口腔乾燥 | 口腔粘膜湿潤度 27.0未満 | 唾液量 2分間で2g以下 | 口腔粘膜湿潤度検査(130) |
| 咬合力低下 | 咬合力 機器ごとの基準(350N未満など) | 残存歯数 20本未満 | 咬合圧検査1(130) |
| 舌口唇運動機能低下 | なし | /pa/ /ta/ /ka/ のいずれかが1秒あたり6回未満 | なし |
| 低舌圧 | 舌圧 30kPa未満 | なし | 舌圧検査(140) |
| 咀嚼機能低下 | グルコース濃度 100mg/dL未満 | 咀嚼能率スコア 0、1、2 | 咀嚼能力検査1(140) |
| 嚥下機能低下 | なし | EAT-10 3点以上か、聖隷式嚥下質問紙でAが1つ以上 | なし |
- 残存歯数は、残根と動揺度3の歯を除いて数えます。咬合力は、検査の結果を残存歯数より優先します。
- 5つの検査は、診断のときのほか、診断後に管理料などを算定して継続管理している患者に3月に1回算定できます。
- 咀嚼能力検査と咬合圧検査は、片方を算定した月から起算して3月以内に行ったもう片方を別に算定できません。
- 有床義歯咀嚼機能検査を算定した月は、咀嚼能力検査と咬合圧検査は別に算定できません。
- 「基本的な考え方」は、原則として7項目すべての検査が望ましいとしています。再評価は概ね6か月ごとで、低下の項目が2項目以下なら回復と考えられます。ただし、再び低下する可能性があると総合的に判断した場合は、同意を得て管理を続けるとされています。
検査をしない月は1か2か、条文には書かれていない

注2は「いずれかを実施した口腔機能低下症の患者」と書かれています。月単位ではなく、患者単位の書き方です。
- 算定する月に検査が必要とする文は、告示の注にも、留意事項通知のB000-4-3にもありません。
- 厚労省の改定の概要の[対象患者]の欄も、患者単位の書き方です。語は告示の「実施した」と違って「算定した」で、2は「1に該当しない患者」とあります。月の定めはありません。
- 検査から何か月まで1で算定できるかを定めた文も、見つかっていません。
- 令和8年の疑義解釈(10月28日のその14まで)を全文検索した範囲では、口腔機能管理料1・2を扱う問は0件でした。5つの検査の名前が出る問もありません。
- 「検査のある月だけ1」とも「一度検査すればずっと1」とも、いまの条文からは言い切れません。運用を決めるときは、地方厚生局か審査支払機関に確かめるのが確実です。
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2026年6月に変わった点と、月の合計点

中医協の個別改定項目の新旧の欄、厚労省の改定の概要、いまの告示で比べると、次のとおりです。
| 項目 | 2026年5月まで | 2026年6月から |
|---|---|---|
| 口腔機能管理料 | 60点 | 1 90点/2 50点 |
| 情報通信機器を用いた場合 | 53点 | 78点/44点 |
| 対象の書き方 | 口腔機能の低下を来しているもの | 口腔機能低下症の患者 |
| 歯科疾患管理料 | 100点(初診月は100分の80) | 90点(初診月の減算の文なし) |
| 3つの検査の施設基準 | 届出が必要(口腔細菌定量・咀嚼能力・咬合圧) | 削除 |
| 歯科衛生士の口腔機能の指導 | 口腔機能指導加算 12点 | 口腔機能実地指導料 46点 |
- 改定前の対象は、概要では診断された患者のうち、咀嚼能力・咬合圧・舌圧・口腔細菌定量の検査のいずれかを算定した患者に限られていました。
- 改定後は、1が5つの検査を実施した患者、2がそれ以外の患者です。
口腔機能管理料だけでは差が見えにくいので、歯科疾患管理料と同じ月に算定する例で足します。初診月ではない月の場合です。
| 組み合わせ | 計算 | 合計(点) |
|---|---|---|
| 改定前(検査あり) | 100+60 | 160 |
| 改定前(対象外) | 100のみ | 100 |
| 改定後の管理料1 | 90+90 | 180 |
| 改定後の管理料2 | 90+50 | 140 |
- 表の「検査あり」は改定前に管理料の対象だった患者、「対象外」は対象でなかった患者です。
- 改定前も管理料の対象だった患者が改定後に1に当たる場合は、160点から180点で20点増えます。
- 改定前に管理料の対象でなかった患者が2に当たる場合は、100点から140点で40点増えます。
- 同じ改定で点数と要件が変わった項目には、歯科の光学印象の施設基準もあります。
算定の前提と、同じ月に算定できないもの

- 前提の管理料:歯科疾患管理料か歯科特定疾患療養管理料を算定した患者が対象です。
- 診断:通知は、関係学会の診断基準で口腔機能低下症と診断されている患者としています。
- 年齢:告示の注に年齢の文はありません。通知は「50歳以上」の患者と書いています。
- 管理計画:患者等の同意を得て、口腔機能の評価に基づく管理計画を作ります。計画の情報を文書で提供し、写しを診療録に添付します。
- 記録:管理を行ったら、管理内容を診療録に書きます。記録を文書で作っている場合は、その記録か写しを添付します。
算定した月に算定できないものは、告示の注6に並んでいます。
| 区分 | 項目 |
|---|---|
| B000-6〜9 | 周術期等口腔機能管理料(Ⅰ)〜(Ⅳ) |
| B000-11 | 回復期等口腔機能管理料 |
| C001-3 | 歯科疾患在宅療養管理料 |
| C001-5 | 在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料 |
| N002 | 歯科矯正管理料 |
入院中の患者と、退院した月の管理は、入院料などの所定点数に含まれます。歯科と歯科以外を併せて行う保険医療機関の、歯科以外の病棟の患者は例外です。
口腔機能実地指導料・歯リハ3との関係

口腔機能の指導と訓練にかかわる2つの項目を並べます。
| 項目 | 口腔機能実地指導料 | 歯科口腔リハビリテーション料3(低下の場合) |
|---|---|---|
| 区分 | B001-2―2 | H001-4の2 |
| 点数 | 46点 | 50点 |
| 回数 | 月1回 | 月2回 |
| 対象 | 口腔機能の低下を来している患者など | 口腔機能管理料か歯科疾患在宅療養管理料を算定する患者 |
| 内容 | 研修を受講した歯科衛生士が、主治の歯科医師の指示で指導し、文書を提供 | 管理計画に基づく指導・訓練 |
| 施設基準の届出 | 様式17の4で必要 | 告示の注に届出の文なし |
| 記録 | 指示の要点、歯科衛生士の報告と業務記録、文書の写し | 指導・訓練の内容の要点 |
- 管理料の算定:実地指導料の告示の注に、管理料の算定を条件にする文はありません。
- 重なる場合:歯リハ3を算定した日に、指導内容が重複するなら、実地指導料は算定できません。
- 摂食機能療法:算定した日は、歯リハ3を算定できません。
- 在宅歯科栄養サポートチーム等連携指導料:実地指導料を算定している月は算定できません。
- 訪問歯科衛生指導料:訪問歯科衛生指導料を算定した日でも、実地指導料に係る指導を実施していれば、実地指導料を算定できます(令和8年の疑義解釈その2 別添4 問6)。
- 文書:初回のほか、内容の変化があったときなどに提供し、6月に1回以上は提供します。歯科衛生士の氏名は名字のみでもよいとされています(その2 別添4 問7)。
- 施設基準:研修を受講した歯科衛生士が1名以上、指導の時間の設定、その時間の歯科用ユニットの確保、歯科衛生士の処遇の改善に係る取組の4つです。
- 研修の経過措置:2027年5月31日までは研修の要件を満たすものとみなされます。様式17の4に受講予定を書けばよく、2027年6月診療分以降も算定するなら、受講歴を書いて届出し直します(その1 別添3 問8)。
- 研修の形:主催は歯科医師会、歯科衛生士会、関係学会などが例示されています(その1 別添3 問6)。医育機関が設置する学会も含まれます(その9 別添5 問2)。対面が原則で(その1 別添3 問7)、発達不全症と低下症で別々の研修でも該当します(その2 別添4 問5)。
原文の確かめ方
- 告示の歯科点数表のPDFを開く(出典の1つ目)。12〜13ページが口腔機能管理料、17ページが実地指導料、40ページがC001-7の注5、41〜43ページが検査、55ページが歯リハ3です
- 留意事項通知の別添2のPDFを開く(出典の2つ目)。18ページが管理料、25〜26ページが実地指導料、64・67〜69ページが検査、79ページが歯リハ3です
- 施設基準の通知のPDFを開く(出典の3つ目)。108〜109ページが実地指導料です
- 診断基準は、日本歯科医学会の「基本的な考え方」の1〜4ページです(出典の4つ目)
- 改定前の対象患者は、厚労省の改定の概要のPDF 25ページです(出典の6つ目)
- 新しい疑義解釈と訂正は、厚労省の改定のページに順に載ります(出典の最後)
出典
- 厚生労働省「歯科点数表(令和8年厚生労働省告示第69号)」B000-4・B000-4-3・B001-2―2・C001-7・D002-6・D011-2・D011-3・D011-5・D012・H001-4
- 厚生労働省 保医発0305第6号(令和8年3月5日)「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について 別添2 歯科診療報酬点数表に関する事項」(5月29日の訂正後)
- 厚生労働省 保医発0305第8号(令和8年3月5日)「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」第13の4、様式17の4(10月7日の訂正後)
- 日本歯科医学会「口腔機能低下症に関する基本的な考え方」(令和8年3月)
- 中央社会保険医療協議会「個別改定項目について」(令和8年2月13日)
- 厚生労働省 保険局医療課「令和8年度診療報酬改定の概要【歯科】」(令和8年3月5日版)PDF 25・82ページ(印字24・81)
- 厚生労働省 保険局医療課 事務連絡(令和8年3月23日)「疑義解釈資料の送付について(その1)」別添3 問6〜8(PDF 19ページ)
- 厚生労働省 保険局医療課 事務連絡(令和8年4月1日)「疑義解釈資料の送付について(その2)」別添4 問5〜7(PDF 81ページ)
- 厚生労働省 保険局医療課 事務連絡(令和8年6月26日)「疑義解釈資料の送付について(その9)」別添5 問2(PDF 10ページ)
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」(疑義解釈その1〜14・訂正通知の一覧)
この記事の数字と日付は2026年11月1日に厚生労働省などの原文で確かめました。2027年3月31日以降は内容が古くなるため、書き直します。