CAD/CAMインレーの保険適用、部位と材料の条件と2026年改定の点数まで

CAD/CAMインレーの保険適用は、小臼歯、大臼歯、後継永久歯が先天性に欠如している乳臼歯の、隣接面を含む複雑窩洞です。単純窩洞では算定できません。
2026年6月の改定で点数は770点になり、大臼歯の咬合支持の要件も見直されました。この記事では、部位と材料の組み合わせ、1歯の点数の積み上げ、届出までをまとめます。
使える部位と材料の組み合わせ

通知の3つの場合と、日本歯科医学会の「基本的な考え方」の材料を並べます。材料料は2026年9月1日からの表です。
| 部位 | 材料 | 材料料 |
|---|---|---|
| 小臼歯 | CAD/CAM冠用材料(Ⅰ) | 169点 |
| 小臼歯 | CAD/CAM冠用材料(Ⅱ) | 142点 |
| 大臼歯 | CAD/CAM冠用材料(Ⅲ) | 273点 |
- 乳臼歯は、後継永久歯が先天性に欠如している場合だけです。材料は永久歯に準じて算定します。
- 材料料の表には、材料(Ⅲ)を小臼歯に使った場合は小臼歯の欄で算定する、という注があります。
- 材料価格の告示では、1個あたり(Ⅰ)1,690円、(Ⅱ)1,420円、(Ⅲ)2,730円です。
- 大臼歯と乳臼歯は、ほかの歯冠修復物との選択について「CAD/CAMインレーに関する基本的な考え方」を参考にすることとされています。
- CAD/CAM冠では材料(Ⅴ)も大臼歯に使えます。PEEK冠の保険適用の条件は別の記事にまとめました。
複雑窩洞に限る、推奨されない症例もある

通知は、隣接歯との接触面を含む窩洞(複雑なもの)に限って認めています。「基本的な考え方」の適応と、推奨できない症例は次のとおりです。
- 適応:小臼歯と大臼歯の隣接面を含む複雑窩洞、後継永久歯が先天性に欠如している乳臼歯の複雑窩洞、直接法による修復が困難な複雑窩洞。
- 推奨できない症例:強い咬合圧を受ける臼歯、習慣性ブラキシズムのある臼歯、窩洞形成で基準を満たせない症例。
- 窩洞形成の目安:イスムスは1.5mm以上の幅を確保し、小窩裂溝部は小臼歯1.0mm、大臼歯1.5mm以上の深さが望ましいとされています。窩縁斜面は付与しません。
- 装着:歯科用接着性レジンセメントに限ります。内面のサンドブラストとシランカップリング処理の組み合わせで接着強さが大きく向上する、とされています。
同じ歯に複数の窩洞があり、充填やレジンインレー、金属インレーを組み合わせる場合は、修復はそれぞれの所定点数で算定します。形成は主たるものの点数です。
2026年6月に変わった点

厚労省の改定の概要と個別改定項目で比べると、次のとおりです。
| 項目 | 改定前 | 改定後 |
|---|---|---|
| CAD/CAMインレー | 750点 | 770点 |
| 光学印象 | 100点 | 150点 |
| 内面処理加算1 | 45点 | 55点 |
| 大臼歯の条件 | 咬合支持などの条件あり | 大臼歯に使用する場合 |
| 乳臼歯 | 対象に記載なし | 後継永久歯が先天性に欠如の場合 |
- 改定前の大臼歯は、第一・第二大臼歯で対側に大臼歯の咬合支持がある患者のうち、同側の咬合支持などの条件に当たる場合か、金属アレルギーの患者に大臼歯へ使う場合でした。
- いまの通知のM015-3は「大臼歯に使用する場合」で、咬合支持の文はありません。
- 改定前の条件は、中医協の個別改定項目の現行欄で読めます。
- 令和8年の疑義解釈(10月28日のその14まで)を全文検索した範囲では、CAD/CAMインレーを扱う問は0件でした。
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1歯の点数の積み上げ

インレー修復形成を使わず、窩洞形成(複雑なもの)から始めた例です。材料料を除いて足します。
| 項目 | 連合印象 | 光学印象 |
|---|---|---|
| 窩洞形成(複雑) | 86 | 86 |
| CAD/CAMインレーの加算 | 150 | 150 |
| 印象 | 64 | 150 |
| 咬合採得 | 18 | 0 |
| 本体 | 770 | 770 |
| 装着 | 45 | 45 |
| 内面処理加算1 | 55 | 55 |
| 合計 | 1,188 | 1,256 |
- 光学印象は印象採得と咬合採得を別に算定できません。差は68点です。
- 大臼歯で材料(Ⅲ)を使うと、連合印象で1,461点、光学印象で1,529点です。
- 接着材料料は含みません。合着・接着材料Ⅰなら標準型17点、自動練和型36点です。
- 1日で硬組織処置から印象・咬合採得までを終えた場合は、窩洞形成の86点の代わりにインレー修復形成の120点を算定します。150点の加算は同じです。
- 通知は印象採得を「1 歯冠修復」としています。単純印象なら32点です。「基本的な考え方」は、光学印象以外では連合印象としています。
- 内面処理加算1は、アルミナ・サンドブラスト処理とプライマー処理などを行い、接着性レジンセメントで装着する場合です。
- 光学印象の差の見方は、光学印象の施設基準の記事に詳しく書きました。
届出と維持管理の扱い

- 施設基準:補綴の経験3年以上の歯科医師が1名以上で、院内にCAD/CAM装置がある場合は歯科技工士の配置、無い場合は装置のある歯科技工所との連携です。
- 届出:様式50の2です。CAD/CAM冠と共通の様式で、光学印象は同じ様式の別の欄です。
- 製作の方法:作業模型による間接法です。光学印象を使った場合は、直接法で取ったデータで製作してかまいません。
- 維持管理:通知のクラウン・ブリッジ維持管理料の「歯冠補綴物」の列挙に、CAD/CAMインレーはありません。列挙されているのはチタン冠、レジン前装チタン冠、レジンインレーを除く非金属歯冠修復、CAD/CAM冠です。
- トレーサビリティ:材料にLot番号のシールが付いている場合は、診療録に貼付するなどして保存することが望まれる、とされています。
原文の確かめ方

- 告示の歯科点数表のPDFを開く(出典の1つ目)。84ページが形成、86ページが装着と光学印象、87ページが内面処理加算、89ページが本体です
- 留意事項通知の別添2のPDFを開く(出典の2つ目)。137〜138ページが形成、143ページが内面処理、135ページが維持管理、150ページが複数窩洞、151〜152ページが本体です
- 材料料は、保医発0831第1号のPDF 9ページ、接着材料料は6ページです(出典の3つ目)
- 施設基準は通知の237ページ、様式50の2は714ページです(出典の6つ目)
- 改定前の大臼歯の条件は、個別改定項目のPDF 729〜730ページの現行欄です(出典の8つ目)
出典
- 厚生労働省「歯科点数表(令和8年厚生労働省告示第69号)」M001・M001-3・M003-4・M005・M006・M015-3
- 厚生労働省 保医発0305第6号(令和8年3月5日)「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について 別添2 歯科診療報酬点数表に関する事項」(5月29日の訂正後)
- 厚生労働省 保医発0831第1号(令和8年8月31日)「「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」等の一部改正について」別添3
- 厚生労働省「特定保険医療材料及びその材料価格(材料価格基準)の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第73号)」058
- 日本歯科医学会「CAD/CAMインレーに関する基本的な考え方」(令和8年3月)
- 厚生労働省 保医発0305第8号(令和8年3月5日)「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」第57の6、様式50の2(10月7日の訂正後)
- 厚生労働省 保険局医療課「令和8年度診療報酬改定の概要【歯科】」(令和8年3月5日版)PDF 56〜57ページ(印字55〜56)
- 中央社会保険医療協議会「個別改定項目について」(令和8年2月13日)PDF 729〜730ページ(印字717〜718)
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」(疑義解釈その1〜14・訂正通知の一覧)
この記事の数字と日付は2026年11月2日に厚生労働省などの原文で確かめました。2027年3月31日以降は内容が古くなるため、書き直します。